貴重な疑似体験の感動をお伝えします!
訪問看護とは少し離れますが、酸素飽和度について貴重な体験をしたことをお話します。酸素飽和度とは、血液中の酸素の量を表しています。
健康な人で、98~100%の値を示すのですが、呼吸器や循環器の病気を患っているとその数値が低くなります。90%より低くなると、酸素を補助的に吸入しなければ〝しんどい状態〟になってしまいます。
では、90%を切る状態とは、どのようにしんどいのでしょうか?これは、病気になった人しかわからないのが事実です。看護師は客観的に、器械・器具などを使って酸素飽和度を観察し、数値が低ければ「患者さんは苦しいだろうな」と想像しながら酸素を補給します。
先日お休みをいただいて、中国の九寨溝・黄龍を訪ねました。良い機会なので酸素飽和度をはかる器械を持参していきました。というのも、九寨溝・黄龍は標高が高く、一番高いところで4000m近くあり、高山病になる危険もあるとわかっていたため、何か看護上良い体験ができるのではと考えたからです。
九寨溝・黄龍につく前に途中、茶葉古道や城壁で有名な『松藩』という街にバスから降りて立ち寄ることになりました。バスを降りた途端、私は何とも言えない胸部の圧迫感を感じ、『息が吸い込めない』と実感しました。皆に遅れないように、息を一生懸命吐きながらゆっくりと歩きました。
皆が写真を撮っている間に、そっと器械を指に付けてみると、なんと酸素飽和度87%・・・「これだ!」と実感しました。バスに戻り、ガイドより標高が3000m近いかったことを聞き、納得しました。
黄龍は入り口が標高3200mを越え、そこからロープウェイで上り、更に1時間余り山を登ります。富士山頂でハイキングしている状態です。ゆっくりと1歩1歩足を進め、息を吐くことに集中しました。
立ち止まり休憩をすると動悸を激しく感じたので、酸素飽和度をはかると78%まで下がっていました。不思議と立ち止まるより、少しずつでも動いているほうが楽なことに気づきました。
病気の場合は、取り込んだ酸素がうまく活用できない、あるいはうまく取り込むことができないのですが、高山の場合は取り込む空気の酸素が薄い状態で、酸素飽和度の意味することが違います。
しかし、95%を切ると後頭部が重苦しく感じる、90%前後になると、意識して呼吸するとすこし数値が回復してくる、85%ぐらいになると自分の動悸を実感してくる、80%前後になると少々深呼吸したぐらいじゃ数値が上がってこないことが分かりました。また、78%ぐらいのとき、酸素を吸うと動悸がなくなり、後頭部も軽くなってくるというのを実感しました。
私にとって、今回の旅行は、酸素飽和度を実感することができ、非常に有意義な旅となりました。もちろん景色は素晴らしく、異文化交流も楽しかったですよ。
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